他人の絵とまったく同じものを作って楽しいの? …って思われる方がいるかもしれない。それならば、似た別の事象を考えてみよう。
何かができるようになる、それによって自分の可能性が広がるということは、根源的に楽しいことなんです。そりゃ映画を見るとかジェットコースターに乗るとかいった直接の楽しさではないかもしれない。だけど、自分の可能性が広がる、ということは、楽しいことなのです。
あるいは、以下のことも考えてみよう。
真似をする=楽しくない、ではないのです。…料理を作っているときが楽しいように(僕は好きでは無いのですがw)、描き終えた絵に意味があると同時に、絵を描いているときが楽しいのならば、それは素敵なことじゃないでしょうか。
「オレはオリジナルの絵が描きたいんだ、模写なんか興味ない」…そう思われるのも当然かもしれません。でも、よく考えて見ましょう。
もちろんセンス抜群の人は美味しい創作料理を作ることができるかもしれません。でも、失敗するリスクは高いでしょう。それに、そんなセンス抜群の人をこのウェブページでは想定対象としてません。僕にとって重要なことは、興味ある人は誰でも模写ができるようになることなのです。
まずは、急がば回れ。…それもそんな時間はかかりません。まずは、「お好み焼き」を作って料理の醍醐味を味わうように、模写から絵描きの楽しみを味わっていこうではないですかー。
もうひとつ、ドラゴンクエストシリーズで、相手の能力をそのまま自分のものとする呪文をご存知でしょうか。それは「モシャス」…つまり「模写す」です。相手の力を自分のものとするために模写を始めてみませんか。
模写のノウハウをお伝えするためにこのページを製作しました。助けになれば幸いです。
ただ、ひとつだけお伝えしたいことがあります。誰でも最初から上手い人なんていません。赤ちゃんは一発で歩けるようになったのでしょうか。…それはもう莫大な量の転倒の繰り返しの末に、ようやく歩けるようになったのではないでしょうか。最初から一人前になる…なんてそれは妄想なんです。だから、地道に歩んでいきましょう。
そして、もうひとつ。私たちは初心者です。堂々と初心者らしくしましょう。初心者だからたくさんの失敗をしてもたくさんの間違いをしても誰からも咎められません(一方で、プロは失敗がなかなか許されません)。初心者の特権を有利に使いましょう、無邪気に、無心に、健気に、たくさん転んでたくさん学んでいければ。それが初心者らしい健全な態度なのかな、と思います。
まだやり方を紹介していないのでアレですが、読み終えた後にそう思われる方が多分いらっしゃると思います。このやり方は「脳の右側で描け」に紹介されている方法です。僕の個人的な独自のやり方ではないことを書いておきます。「反転模写」は賛否両論なのかもしれません。でも、まずは見たとおりに描けるようになるところが絵描きの基本じゃないでしょうか。じゃないと、せっかく脳内で思いついた構図だって、それをそのとおりに描けない可能性が出てきてしまいます。それは寂しいことかと。
また、「反転模写」に関しては、多分、30~40枚も描けば、もう必要なくなると思います。スタートでの補助装置みたいなものと思っていただければ。ロケットだって打ち上げ直後には補助ロケットを必要とします。自転車だって、乗り始めのころは補助輪をつけていたのではないでしょうか。「反転模写」もそれと同じ、取り組み始めの補助装置なのだと思います。